世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」シリーズ
台風22号と行く中辺路の旅

Date 2004-10-8 〜 2004-10-10
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箸折峠・牛馬王子
 10月4日フィリッピン東で台風22号が発生。予報では近畿南部接近の可能性も、秋雨前線を刺激して大雨も。そんな悪天候が予想される中、大阪から紀ノ川を渡って和歌山へ、紀伊田辺へ通じる熊野古道「紀伊路」ではなく、現代版、熊野みち、JR阪和線、紀勢本線で入った。
10月8日(金) 自宅〜王寺・天王寺〜紀伊田辺
 「台風近畿南部接近か」のニュースの中、王寺22:02発のJRに乗車、和歌山を目指した。車中は明日からの三連休を田辺方面で過ごす人か台風など関係ないかのように混雑していた。定刻の1時41分紀伊田辺駅に到着。駅で仮眠をして3時過ぎに出発をと計画していたが、駅員さんに尋ねると駅は始発まで閉めてしまうとのこと。駅での仮眠は諦めざるを得ない。仕方ない、台風が来る前に先を急ぐことにする。
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10月9日(土) 紀伊田辺駅〜滝尻王子〜近露王子〜小広王子
 1時47分暗闇の中、早めの「中辺路の旅」が始まった。まだ、雨は降っていなかった。下万呂を直進し、須佐神社に向かった。が、国道42号線の沿って歩かなければいけないのに、国道を渡ってしまい、1キロほど進んで間違ったことに気づき元へ戻る。三栖バス停付近で雨が降り始めた。レインウエアを取り出し着替える。ついでにスパッツも。すぐ先の、善光寺前で右折すべきところを直進してしまい、500mほどコースアウト。元に戻りしばし思案の後、正しいコースを見つける。「岡道」を進み始めるが、暗闇で道が分からなくなってしまう。仕方なく、山を下り国道に出て「新岡崎トンネル」を通った。雨が強く降り始める。ラジオの台風情報によると、北北東に進んでいるとの事。和歌山南部に、強風波浪警報が出ている。6時前、稲葉王子先で「ローソン」が開いていたのでお茶とおにぎりを購入。時間も時間なので他に客はいない。この先も、時折車が通るのみで、人に出会わない。
上富田町の役場のスピーカからは、「台風が来ています。戸締りをして出歩かないように。」と言っている。大塔村で散髪屋さんと出会う。『台風きてるで!近づいたら避難しいや』と言われる。途中からは「口熊野マラソン」のコースを逆に進む。しばらくして、またまたコースアウト。地図を見ないで、看板のみを頼りに進んでいたためだ。やはり、自分で地図を見てのコースシュミレーションが必要だ。がけ崩れの復旧工事中の道を進む。御所平付近からようやく古道らしい道に入る。北部(ほくそぎ)に到着。「清姫の里」目指すが、橋が工事中のため進むことができない。大きく迂回する破目に!清姫の里バス停でしばらく休憩。
滝尻に9時半到着。「熊野古道館」がオープンしているが、今日はまだ誰も来てないとの事。滝尻茶屋で「おにぎり弁当」を買い求めるが『今日は台風で団体客もキャンセルになったし、誰も来ないと思って準備をしていない』との事、楽しみしていたのでガックリ。『台風は東にそれるよ』とのおじさんの声におくられて出発。ここから熊野の聖域に入る。古道上には500m毎に道順道標が建っている。1時過ぎ「高原熊野神社」へ、皇太子殿下も訪れている。しばらく休憩。昼食用のご飯に注水する。「霧の里休憩所」で「ヨモギ餅」をと思って入って見るが、誰もいない、ここは休館中。台風が来ている最中なので仕方がないか。歩く人には誰一人出会わないが、沢蟹がたくさん出てきて歩いている。踏み潰さないように避けながら進む。尾根道は小川のようだ。
台風が来ている旨の中辺路町・広報アナウンスがスピーカーから時折聞こえてくる。12時過ぎ、十丈王子休憩所で「昼食」を摂る。台風の風も弱まってきはじめる。2時頃、雨も上がる。台風も完全にそれた様子だ。2時半過ぎ「牛馬童子」に到着した。時折、ハーカーらしき人にすれ違う。車ですぐ傍の「道の駅中辺路」まできているようだ。近露王子に到着。自動販売機で清涼飲料水を求め喉を潤す。ここからは、古道と舗装道路を出たり入ったりしながら「野中一方杉」へ。小広王子を過ぎたところで五時。これ以上進むのは無理なようだ。町道沿いの、電気・水道完備(?)のきれいなトイレが有ったので、ここでの野宿もと考えたが、寝袋を広げるスペースが無い。少し先の、小広王子休憩所泊まりに決める。屋根だけで囲いはないが。。まずは、濡れた服を着替えて台の上に広げて干す(次からはビニール紐が必須だ)。その後、夕食の用意。「フカヒレスープ」「ぞうに」「かやくご飯」と豪勢だ。(すべてインスタントだ(^_^;))6時半過ぎ、真っ暗で何も見えなくなる。街灯も無い山の中ゆえに仕方がないか。懐中電灯の明かりだけが頼りだ。7時過ぎ寝袋に入るがなかなか寝付けない。台風で増水している川の傍でもあり無理もない。9時過ぎまでは記憶があるが、その後は・・・。
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10月10日(日) 小広王子休憩所〜発心門王子〜伏拝王子〜熊野本宮大社
 4時半携帯電話の目覚ましに起こされる。ライトの明かりを頼りに朝食の準備(フーズドライのみそ汁とご飯)。着替え、寝袋を片付けて5時過ぎ出発をとリユックを担ぐが、まだ暗すぎて山への入口が分からない状態。これではだめだと座りなおす。5時半、空が明るみ始めたので改めて出発。いきなり急な登り坂だ、峠からは女坂を下り、仲人茶屋へ。そこからまた、急な男坂だ。この後登り、下りを繰り返しながら、三越峠へ到着。峠の休憩所前の林道には、車が数台と停まっているが人影は見当たらない。峠を下った音無川沿いの古道には「イノシシ」の足跡や何かを掘った跡がたくさん見受けられた。「イノシシ」との遭遇を楽しみに進んでいたら、船玉神社を過ぎ猪之鼻王子の手前で「イノシシの親子」三匹に出会う。「うり坊」が二匹いた。近づくと気付いて逃げてしまった。
 たっくん坂手前で、昨日来、初めて古道ウォーキングの人とすれ違う。 発心門王子でも古道ウォーキングの団体さんに。このあたりから多くの人が目につき始める。観光バスもたくさん行き来している。それたとはいえ、昨日の台風など無かったかのようだ。水呑王子付近で、道行く人を楽しませてくれる「しし脅し」があった。伏拝王子手前では、「果無山脈」がその雄姿を魅せていた。三軒茶屋では、観光バスの運転手さんが、到着の人待ちをしていた。一言、声をかけて先へ進む。ここからは、「小辺路」と同じ道で今までに2回通っている道だ。10時57分熊野本宮大社に到着。予定では「那須」へ向う予定であったが、雨で濡れたせいか、疲れも激しい。無理は禁物。今回はここで中止することに。台風と過ごした、2日間、20時間45分の中辺路の旅が終わった。近いうちにリベンジだ。 ミニスーパー「樹の里」でおにぎりと、缶ビールを買い、奈良・五條行きのバス(11時23分発)に乗車、帰途に着く。
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日付歩き始め到 着所要時間距 離歩 数
10/91時47分17時05分15時間18分46.2Km56,580歩
10/105時30分10時57分5時間27分17.5Km29,870歩
合 計20時間45分63.9Km87,450歩

◇参考資料
「熊野古道を歩く MAP&GUIDE」JR西日本発行
1コース:滝尻神社〜高原熊野神社
2コース:高原熊野神社〜牛馬童子
3コース:牛馬童子〜継桜王子
4コース:継桜王子〜熊瀬川王子
「熊野古道を歩く」山と渓谷社発行

◇写真集(雨のため写真殆どなし)
箸折峠・牛馬王子箸折峠・牛馬王子 由来案内板水呑王子付近
箸折峠・牛馬王子
箸折峠・牛馬王子
由来案内板
船玉神社
赤木越分岐
水呑王子付近
しし脅し

◇台風22号の経路
(台風22号(MA-ON)は静岡県・伊豆半島に上陸し、関東地方を縦断して太平洋に抜けた。伊豆半島の石廊崎では最大瞬間風速67.6m/sを記録し、各地の雨量も増え、台風の衰弱前に直撃を受けた伊豆半島では大きな被害となった。)

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